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2024/12/14

不動産収入(家賃収入)は受け取ってなくても収入になる

こんにちは、なほ税理士事務所 税理士の川﨑です。
土地やアパート、駐車場といった不動産を貸し出すことで、貸主さん(地主さんや家主さん)が得た賃料収入等は、所得税という税金の対象となり、不動産所得と呼ばれる収入に区分されます。

この不動産所得の計算は、次の算式で計算します。

不動産所得の収入金額-必要経費=不動産所得の金額

この算式中にある不動産所得の収入金額、実は・・・・、

賃料(現金)を実際に受け取っていない分も含まれます

多くの方が腑に落ちないでしょう。

このコラムでは、そんな大半の方が「なんで?」と思うであろう、

税金の不思議な取り扱いについて解説します。

収入金額ってなに

収入金額について、所得税では次のように規定しています。

※今回、特に強調したい箇所を赤く表示しました。

所得税法 第三十六条 (収入金額)
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(省略)とする。

収入すべき金額」と書かれているのが確認いただけたと思います。

ここでの重要ポイントは、「収入した金額」とは書かれていないことです。

たった二文字、三文字程度の違いですが、法律というルールを定める上で、この文言の違いには大きな意味があります。

「収入すべき金額」の意味

仮に、この所得税の法律を定めるときに「収入した金額」といった文言を使って規定されていた場合、先ほどの算式にあった「収入金額」を、実際に受領した賃料(現金)の額で計算すれば良いと考えられます。

ところが、法律ではわざわざ「収入すべき金額」という文言を使って規定していることには意図があります。

その意図とは、賃料(現金)を受領したかに関わらず、税法が収益として計上させたい時期(正しくは、賃料を受領する権利を得た時期)を迎えたなら、収入金額の計算に含めさせるために「収入すべき金額」という文言が使われています。

つまり、未受領であったとしても収入金額に含まれます。不動産所得の「収入すべき時期」について言及したのが次の通達で、それぞれの期限が到来すると「収益」にカウントされます。

(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)

(2) 以下、省略

まとめ

このコラムで解説した「収入すべき金額」の考え方は、不動産所得の収入金額に限らず、個人事業主などに関係する事業所得や、株式会社などに関係する法人税といった、他の税金の取り扱いにも広く取り入れられています。

(注)「時期」については、それぞれ別のルールがあります。

そのため、税金を考えるなら当然に押さえておかなければいけない考え方です。

といっても、一般的には「現金の増えた」で収入を捉えることの方がむしろ普通で、この世間一般で言うところの「収入」と、税法の考える「収入」の違いには、深い溝があります。

これから先もずっと埋まることのない永遠の溝でしょうね。

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