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2024/12/13

【一人に相続する遺言書】他の相続人に知られたくないなら、生前贈与を検討すべし

他の相続人より多く遺産をもらう予定がある場合、手書きの遺言書を検討される方は多いでしょう。

しかし、手書きの遺言書は「必ず」他の相続人に知られることになります。

本記事ではその理由と検討すべき生前贈与について解説します。

  1. 手書き遺言書(自筆証書遺言)の欠点
  2. 検認では何か起こる
  3. 法務局からの連絡はいつ
  4. 知られることのリスクを避けたいなら
  5. 生前贈与で税金がかからない基準
  6. 相続時精算課税による生前贈与の注意点
  7. 他の相続人に知られたくないなら、生前贈与を検討しよう

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手書き遺言書(自筆証書遺言)の欠点

手書きの遺言書(自筆証書遺言)には、次の2つの保管方法があります。

  1. 自宅で保管する方法
  2. 法務局に預ける方法(自筆証書遺言書保管制度)

結論から言うと、いずれの方法でも他の相続人に知られることになります。

①では「検認」という手続きで、②では法務局から連絡されるという形で遺言書の存在が明らかになります。

検認では何か起こる

相続が起きた際、手書きの遺言書を金融機関へ持ち込んでも遺産を受け取ることはできません。

なぜなら「検認」が必須だからです。

出典:裁判所 遺言書の検認

検認とは、相続人の立会いのもと遺言の内容を確認する手続きです。

家庭裁判所に検認の申立てを行うと、相続人全員へ〇月×日、家庭裁判所に集まるようにと書かれた招集通知が発送されます。

遺言書の存在を知らなかった相続人に、ある日突然、家庭裁判所から招集通知が届くと想像してみてください。

そして、招集当日。集まった相続人たちが見守る中、遺言書が開封されます。

その場で、遺産を受け取れないことを知った相続人の表情は、一体どんなものになるでしょうか…。

法務局からの連絡はいつ

法務局に遺言書を預ける方法(自筆証書遺言書保管制度)では「検認」されることがありません。

銀行口座の解約などを行う際には遺言書の提出が必要ですが、法務局から預けた遺言書の原本が返されることはありません。

その代わりに、「遺言書情報証明書」という書類が発行されます。

遺言書情報証明書には、預けた遺言書の内容が記載されます。

この書類が遺言書の代わりになり、遺産を受け取る手続きに使うことができます。

ただし、この証明書を取得すると法務局から相続人全員へ通知がされます。

出典:法務省 通知が届きます!〜 | 自筆証書遺言書保管制度

通知書の注意事項をよく見てください。

マーカー筆者

検認のように立会いはないものの、この通知を受け取った相続人「も」遺言書情報証明書を取得して内容を確認することができます。

通知を受け取った相続人が果たして遺言書の内容を確認するかは…天のみぞ知るです。

知られることのリスクを避けたいなら

遺言書を書かずに、生前贈与で「今」財産を受け取ることを検討してはいかがでしょうか。

実際に相続のご相談の場では、大半の方が生前贈与を選択されます。

生前贈与では、贈与されたことが他の相続人に「通知」されません。

また遺言書は亡くなった後に効力を発揮するため、将来確実に遺産相続できるか保証がありません。

その点、生前贈与は「今」財産を受け取ることになるので、安心感があります。

とはいえ、

「生前贈与で財産を受け取ったら高額な税金がかかるのでは?」

とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。

生前贈与で財産を受け取っても全く税金がかからないケースがあります。

生前贈与で税金がかからない基準

生前贈与には2つの方法があります。

  1. 年間110万円以内での贈与
  2. 相続時精算課税制度での贈与(2,610万円非課税)

①は毎年1/1~12/31までの間に行われた贈与が、合計110万円以内であれば非課税というものです。

特に届出は必要ありません。

②は相続時精算課税制度という届出を提出して行う贈与です。

相続時精算課税制度とは、平たくいうと、
「贈与した時に2,610万円までは非課税とする、ただし相続が起きた際には、非課税で贈与した財産も含めて相続税の課税対象にする。」というものです。

「贈与時点では非課税、相続時には課税する」という仕組みであるため、将来、相続税がかからないご家庭の方は「相続時も」課税されることはありません。

相続税は、贈与する方(親や祖父母)の遺産が、贈与する遺産を含めて次の算式以下であれば課税されません。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

このような方は、合法的に税金負担0円で財産を受け取ることができます。

相続時精算課税による生前贈与の注意点

ただし、相続時精算課税制度にもリスクはあります。

贈与者が亡くなった後で、他の相続人が自主的に税務署に「49条開示請求」という手続きを行えば少なくとも、請求を行った本人以外の相続人のうち誰かが相続時精算課税にて過去に贈与があった事実は分かります。(贈与者がご存命の間は知られることはありません。)

▼49条開示請求について詳しく

また、他の相続人より多く財産をもらう場合は、遺留分という問題があります。

遺留分とは、相続人に最低限保証されている遺産の取り分のことです。
遺留分の問題は、手書きの遺言、生前贈与いずれの方法で遺産を受け取っても関係なく生じますのでご注意ください。

他の相続人に知られたくないなら、生前贈与を検討しよう

手書きの遺言書(自筆証書遺言)は、どの保管方法を選んでも「検認」や「法務局からの通知」を通じて、他の相続人に遺言内容が明らかになるリスクがあります。

一方、生前贈与を利用すれば、遺言書のように他の相続人に通知されることはなく、財産を確実に受け取ることができます。

手書きの遺言書をご検討中の方は、別の選択肢として生前贈与も比較検討していただき、ベストな遺産相続の方法を見極めていただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、またの記事をお楽しみに!

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