【相続税・贈与税】税務調査で人生終わり?言ってはいけないNGな反論

相続の税務調査で「もう人生終わりかも…」と不安になるのは当然です。
しかし、税務署が指摘する内容は必ずしも適法とは限りません。
誤りがあれば反論して覆すことができます。
ところが、多くの方がその反論に失敗します。それは、そもそも「法律を取り違える」からです。
この記事では、税務調査の体験談をもとにした事例から、言ってはいけないNGな反論と正しい対処法を相続専門税理士が解説します。
※事例は一般的な相談内容をもとに再構成した架空のものです。
目次
- 税務調査の体験談|父の土地を1円で購入した息子
- NGな反論|民法上は売買だから贈与税はかからない
- 税務調査で言ってはいけない3つの反論
- 税務署の指摘に正しく反論する方法
- まとめ|税務調査では法律を取り違えない
税務調査の体験談|父の土地を1円で購入した息子

父親が、時価3,000万円相当の土地を所有していました。
息子はその土地を譲り受けたいと考えましたが、タダでもらうと贈与税が発生します。
そこで息子は考えました。
🤔「タダでもらうから贈与になる。1円でも代金を支払えば、贈与ではなく売買になるのではないか」
父親と息子は売買契約を結び、息子は父親に1円を支払って土地を取得しました。
売買とは、一方が財産を移転し、相手方が代金を支払う契約です。
民法という法律にそのことが書かれています。
法律にきちんと書かれているので、契約書を見れば「贈与ではなく売買だ」という説明には理由があるようにも思えます。
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
ところが後日、税務調査で贈与税の申告漏れを指摘されました。
息子は次のように反論します。

😠「これは贈与ではありません。民法上の売買です。」
😡「代金1円を支払い、売買契約書もあります。」
この反論で、贈与税を回避できるのでしょうか。
NGな反論|民法上は売買だから贈与税はかからない
結論からいうと、「民法上は売買だから贈与税はかからない」という反論で税務署の判断を覆すことはできません。
というのも、法律にはそもそも担当する範囲が決められています。
「民法」が担当する範囲は、人と人との関係です。
これにたいし、税務署は「国」が運営する行政機関なので、「人」ではありません。
つまり、納税者(人)と税務署(国)との間について基本的に民法は担当外ということです。
それでは、納税者と税務署の間を取り持つ法律はどれでしょう?
それが「税法」です。
税務署が贈与税を課税する根拠は、民法ではなく税法(相続税法)となります。

相続税法第7条では、個人から著しく低い価額で財産を譲り受けた場合、その財産の時価と実際に支払った金額との差額を、贈与により取得したものとみなします。
著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
この事例では、民法上は売買契約が成立していても、相続税法上は、時価3,000万円と売買代金1円との差額が贈与税の対象になります。
つまり、一つの行為に対して二つの法律がそれぞれ適用され、全く異なった結論を出します。

・民法上は父親と息子の売買である
・税法上(相続税法)は差額を贈与として扱う
契約書に「売買」と書いただけでは、反論として役不足です。
税務調査では、代金が適正かなど取引の実態が確認されます。
☝️税務署(国)と話をするときの「法律のとりちがえ」は、専門家でも間違えることがあります。
何についてのことなのかによって担当する法律が違います。税金は、「税法」が担当しているということを覚えておいてください。
税務調査で言ってはいけない3つの反論
1.「民法上は○○だから、税金もかからない」
民法上の取扱いと、税金がどうなるのかはまったく別の問題です。
売買契約が成立していても、相続税法上のみなし贈与に該当することがあります。
2.「契約書を売買と書いたから贈与ではない」
税務署は契約書の書き方だけで判断しません。
売買代金が著しく低い、実際には代金を支払っていないなどの実態があれば、税務上は贈与として扱われる可能性があります。
3.「納得できない、実際に売却したんだ」
税務署の指摘に納得できず、感情的に意見するだけでは適当にあしらわれるのが関の山です。
反論するには少なくとも「税法」を元に話をしなくては成果が得られません。
税務署の指摘に正しく反論する方法
税務調査で重要なのは、「納得できない」と主張することではなく、税務署が問題にしている論点について対処することです。
今回の事例であれば、相続税法7条の内容に照らして次の点を確認します。
✅ 税務署が認定した土地の時価は適正か
✅ 1円という価格に合理的な理由があるか
✅ 売買代金は実際に支払われたか
そのうえで、売買契約書、振込記録、不動産の査定資料、価格を決めた経緯が分かる資料などを準備します。
反論をするときは、税務署が課税する根拠にしている税法を確認し、その要件に沿って事実と資料を示すことが大切です。
まとめ|税務調査では法律を取り違えない
相続税や贈与税の税務調査では、次の順序で対応しましょう。
1️⃣税務署の指摘内容を正確に確認する
2️⃣問題となっている事実と税法を整理する
3️⃣説明を裏づける資料を集める
4️⃣税法上の論点に沿って回答する
5️⃣修正申告を提出する前に税理士へ相談する
税務署の指摘に納得できない場合は、自己判断で反論や修正申告をせず、相続税・贈与税の税務調査に詳しい税理士へ早めに相談しましょう。
よくある質問
必ず追徴課税されるわけではありません。資料によって申告内容を説明できれば、追加の税金が発生しない場合もあります。
必ずかかるとは限りません。ただし、著しく低い価額で譲り受けた場合、時価と売買代金との差額に贈与税が課される可能性があります。
修正申告に応じるかどうかは納税者が判断できます。ただし、提出後はその申告自体について不服申立てができないため、納得できない点があれば提出前に税理士へ相談してください。
▼税務署が修正申告を勧める理由についてはこちらをチェック
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