【実家の相続】名義変更は母か子供どちらにすべき?相続税の影響も解説
こんにちは、なほ税理士事務所 税理士の大﨑です。
父が亡くなり、母と子が残されたご家族で、父名義の自宅を、母が相続すべきか子が相続すべきか悩むケースがあります。
具体的に弊所に寄せられた相談では
- 母が相続すれば相続税はかからないから、母が良い?
- 子が相続すれば、世代飛ばしが出来るから登記費用がお得?
と皆さんお悩みのようです。
しかし、実際は単純な話ではありません。
だれが相続するかによって、メリットデメリットがあります。
本コラムでは相続した人別に、詳細を解説します。
目次
母が相続した場合
★判断ポイント
母が相続した場合は、総じて子の金銭的な負担が増加します。
また、母の認知症リスクへの対策も検討すべきです。
母のメリット
安心感が得られる
住み慣れた自宅を自分の名義にすることは、精神的な安心感が得られます。
特に、亡くなった父との思い出の詰まった家であれば、なおさらです。
母はいつでも売却ができる
母の意思で売却をすることができます。
将来の施設費用に充てるなど、母の裁量で決めることができます。
母の相続税の負担が少ない
母が相続する場合は、最低でも1.6億円までの財産について相続税がかかりません(配偶者の税額軽減)。
母のデメリット
認知症になったら売れない
母が認知症になってしまったら、売却することはできません。
子が代わりに売却手続きをすることも出来なくなるので、母が亡くなるまで現金化が出来なくなります。
子のデメリット
相続登記を2回することになる
父と母の相続で2回の登記をすることになります。
登記費用(登録免許税など)の負担が2倍になります。
二次相続での税負担が重くなる
一次相続で母が遺産の大半を相続した場合、二次相続では、母が父から相続した財産+母の財産が相続財産となります。
加えて、配偶者の税額軽減が使えない、相続人の数が一次相続と比べて少なくなり、基礎控除額が減少するなどの要因で相続税の負担が増加します。
子が相続した場合
★判断ポイント
相続税がかかるご家庭の場合は、子が相続した場合の方が相続税の負担が軽くなります。
節税優先の方におすすめです。
通常、母が先に亡くなる確率の方が高いですが、子が先に亡くなった場合の家族関係も考えておくと良いです。
子のメリット
母が認知症になっても売却ができる
子が相続することで、母が認知症になった場合でも不動産を売却できます。
相続税の税負担が軽くなる
一次相続で財産を子に相続した場合、二次相続と通算で相続税の負担が軽くなります。
母のデメリット
子が先に亡くなる
子が先に亡くなると、母は子の配偶者や孫の名義の不動産に住み続けることになります。
子の家族との関係が悪い場合は、「売却するから出て行ってくれ」と言われることも。
母と子で共有した場合
★判断ポイント
不動産を共有状態のまま置いておくのは好ましくありません。
共有者全員が合意しないと売却できない、賃貸したくとも共有者の過半数の同意が必要になる等、現金化や活用に制約が伴うからです。
結果的にそのような不動産は、固定資産税や管理コストだけがかかる「負動産」になりがちです。
共有状態とするのならば、どこで共有を解消する算段がつくか、出口を考えた上で判断することをお勧めします。
子のメリット
母が先に亡くなれば共有状態は解消
母の持分が子に相続されるため、最終的には子が単独で所有することができます。
子が同居している場合は、節税チャンスも
子が同居している場合は、土地の評価額が大幅に軽減される特例を一次相続と二次相続で2回受けられる可能性があります。
子のデメリット
母が認知症になると売却できなくなります。母の介護費用や施設費用がかさんでも、母が亡くなるまで現金化できません。
母のデメリット
子が先に亡くなった場合は、母は子の配偶者や孫の名義の不動産に住み続けることになります。
子の家族と関係が悪い場合は、住み続けられなくなることも想定されます。
まとめ
父の不動産を誰の名義にするかは、ご家族の優先事項によって異なります。
- 母の心情を優先するか
- 売却を視野に入れるか
- 節税を優先するか
ご自身の家族が何を優先するかをまずお考えいただき、誰が相続することがベストか話し合っていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、またのコラムをお楽しみに!