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2024/12/30

教育資金贈与するなら110万円・都度贈与を併用して賢く

教育資金の一括贈与は、1,500万円の大きな非課税枠が魅力の制度である一方、使い道に制約がある、手続きが面倒などのデメリットがあります。

これらのデメリットを軽減する方法として、「110万円の非課税贈与」や「つど贈与」を併用して賢く贈与を実現させる方法をご紹介します。

教育費の渡し方~3つの方法と比較~

贈与税の非課税の恩恵を受けながら、教育費を渡す方法は3つあります。
最も大事なポイントは、これら3つの方法は、「すべて併用が可能」ということです。

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教育費を渡すだけなら

もっとも簡単な方法は、必要な都度行う「つど贈与」です。
元々、扶養義務者からの生活費や教育費には贈与税がかかりません。

”夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

引用:No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁(マーカー筆者)

 
扶養義務者には祖父母も含まれます。

ただし、あくまでも必要の「つど」、直接かかった費用分のみが贈与税がかからないとされています。

つど払いが面倒という場合は、年間110万円以下であればまとめて資金を渡すことが可能です。

教育費以外も援助したい+節税効果も欲しい

このような場合は、年間110万円以下の贈与がおすすめです。
使途に制限がなく、教育費以外の援助も可能です。

ただし、相続税の節税については注意が必要です。

年間110万円の贈与には、暦年贈与と相続時精算課税贈与があり、特段届出をしなければ「暦年贈与」となります。

暦年贈与の場合は、死亡前7年間の贈与について相続税の計算対象となります。
贈与を始めてから少なくとも7年を経過しないと節税効果がでません。

節税効果を狙うなら、相続時精算課税制度の届出をしましょう。

7年待たずに、贈与したその年から相続税の計算対象から外すことができます。
すぐに節税効果を発揮することができます。

110万円贈与比較表

自分が認知症となった後や、死後も援助したい

子や孫への資金援助は、「つど贈与」や「110万円以下の贈与」にて比較的容易にカバーできます。

しかし、これらの贈与は、贈与する本人が認知症となった後は一切行うことができません。

認知症になる確率は統計によると、80~84歳の有病率は21%、85歳を超えると41%へと倍増します。

出典:認知症年齢別有病率の推移等について

つど贈与や110万円の贈与で、年齢的に十分援助しきれない方は、教育資金の一括贈与がおすすめです。

認知症になった後や死亡した後でも、教育費の贈与をすることができます。

ただし、受け取る側に注意点があります。

30歳までに教育費として使い切ることができなかった場合、使い切れず残高となった部分に贈与税が課税されます。

また、教育費として使用されなかった部分についても贈与税の課税対象となります。

教育資金の一括贈与を検討する際は、教育費として将来どのくらい必要か見積りをし、使い切れる分の贈与にとどめておくのが良いでしょう。

ちなみに、教育資金の一括贈与の利用者は全国で約18,000人、平均贈与額は約700万円です。
国税庁統計情報 令和4年度2直接税 贈与税より筆者算出)

モデルケースで贈与の併用を考えてみよう

各贈与の特徴を踏まえて、いつ、何を、どの贈与方法でするのか整理してみるとよいでしょう。

【手順】
① 必要な援助をリストアップ
② つど贈与・110万円贈与・教育資金の一括贈与 どの贈与で対応するか分類
③ 手続きや届出が必要なタイミングを確認

併用例:タップで拡大

皆さんのご家庭にあてはめて考えてみてください。

まとめ

教育資金の贈与方法には、「つど贈与」「年間110万円以下の贈与」「教育資金の一括贈与」の3つの方法があり、それぞれ併用することが可能です。

  • つど贈与
    必要なタイミングで資金を渡す最も手軽な方法です。贈与税もかからず、手続きが不要です。
  • 年間110万円以下の贈与
    教育費以外の用途にも使える非課税枠が魅力です。相続時精算課税の届出を提出することで、すぐに節税効果が得られます。
  • 教育資金の一括贈与
    最大1,500万円まで非課税で贈与でき、贈与者が認知症になった後や死亡後も支援が可能ですが、使途や期限に制限があります。

これらの方法を組み合わせることで、家族の状況に応じた最適な教育資金贈与が実現できます。
計画的に活用して、子や孫への支援を効果的に行いながら、贈与税や相続税の負担を軽減していきましょう。

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