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2025/03/24

【相続税の配偶者控除】配偶者が全て相続するデメリットと回避方法を解説します

相続税の計算において、配偶者が相続した財産は最低でも1億6,000万円まで相続税がかからない、という「配偶者の税額軽減」というルールがあります。

実はこのルール、「配偶者が遺産の全てを相続すれば、相続税が0円で済む」と考え安易に適用すると、高額な相続税がかかってしまう諸刃の側面があります。

本記事では、このような「配偶者の税額軽減」の正しい使い方を解説します。

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相続税の配偶者軽減の特徴

配偶者の税額軽減を正しく使うために、まずは特徴を確認しましょう。

主に2つあります。

  • 相続税の申告をしないと使えない
  • 使いすぎると税金が高くなる

①    相続税の申告をしないと使えない

配偶者の税額軽減は、相続税の申告をして初めて使えるものです。

このルールを適用して納税額0円になる=申告不要にはなりません。たとえ、計算結果が0円でも税務署への申告は必要になります。

②    使いすぎると税金が高くなる

配偶者が相続した財産は、再び相続税の対象となります。(2度相続税の対象となる。)

具体例

親族図_4人家族の具体例

このようなご家庭で、父の財産をすべて母が相続して、配偶者軽減を使い相続税申告も済ませたとします。

母はもともと1,000万円の財産を持っていたところ、父から相続した分の7,000万円が加わり、合計で8,000万円の財産を保有することになります。

この状態で母が亡くなると、相続税の対象は8,000万円となり、再び相続税の対象となります。

父から相続した分7,000万について、「申告済みだから対象外になるのでは?」と考えたくなりますが、そうではありません。
この財産も、相続税の対象となります。

そのため、配偶者軽減を使って配偶者が相続しすぎると、次の相続で遺産金額が大きくなり高額な納税となってしまうのです。

この具体例で配偶者が全て相続したときと、しなかったときを比較すると、納税額にこれだけ差がでます。

比較表_配偶者がすべて相続する場合と相続しない場合

全く相続しない方が、245万円も納税額が少なくなりました。

この結果をみると「配偶者軽減って使う意味あるの?」と疑いたくなりますが、このようになった原因は配偶者軽減の「使いすぎ」によるものです。

使いすぎず、きちんと節税効果を発揮するコツは「配偶者の相続分をほどよく調整する」ことにあります。

その方法をご紹介します。

配偶者軽減の使い方のコツ(基本形)

配偶者の相続分を2回目の相続の基礎控除から逆算します。

基礎控除とは、相続税の計算で使う非課税枠のことです。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

この計算を下回る遺産金額であれば、相続税の申告が不要となり納税額も発生しません。

2回目の相続(二次相続)で申告不要(基礎控除を下回るように)配偶者の相続分を調整します。

二次相続の基礎控除から逆算する

 具体例のご家族の場合、二次相続の基礎控除は、相続人が一人減るので4,200万円(3000万+600万×2人)

母の財産が1,000万円あるので、差額3,200万円までの相続であれば2回目の相続は申告が不要になります。

数値をいれてみます。

二次相続の基礎控除から逆算する(数値入り)

父の相続のときに、母は3,200万円相続し、のこり3,800万円を子が相続したところ、相続税は122万円になりました。

 母が全額相続しない場合の納税額(225万円)と比較すると、配偶者軽減をつかって「ほどよく」母に相続した方が、103万円も節税できました。

なぜこのように節税できるのでしょうか?

配偶者が相続した財産は、再び相続税の対象となる。

この仕組みを逆手にとっています。

再び相続税の対象となっても次の相続で、配偶者の財産と合わせて基礎控除を越えなければ、相続税申告の対象とならず納税は発生しません。

1回目は仕方ないとして、2回目の相続税申告をなくすように調整して節税をはかっているのです。

もっと納税額を減らしたい(応用形)

二次相続で、母が亡くなるまでに使うお金を組み込んでみてはいかがでしょうか。

2回目の遺産総額が基礎控除内に収まるように、1回目の配分を組み込めばさらに納税額は減ります。

たとえば、母の生活費や、子への生前贈与を行うなどいろいろ使い道はあります。

生前贈与などを入れて逆算する

シミュレーションで困ったら?

相続財産は預貯金だけではなく、不動産や株など多岐にわたります。

思うような計画で進められるかご不安な場合は、なほ税理士事務所へご相談ください。

また、弊所の相続税申告はこのようなシミュレーションを標準で行っています。

次の相続までの対策も合わせて賢く遺産分けはしたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

またのコラムをお楽しみに!

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