【実録】相続体験談 税金破産しかけた我が家の話
「財産リスト」で知った衝撃の事実
こんにちわ。石川県金沢市のなほ税理士事務所、税理士の大﨑です。
今回は、私が身をもって経験した「我が家の相続」について赤裸々にお話をしたいと思います。
相続が起きた当時、私はごく普通のOLでした。
家族の死は初めてのことで、相続税に至っては全くの無知でした。
そんな私が相続に直面し、
やっておけば良かったこと、知っておけば良かったこと
を皆様にお伝えできればと思います。
私の失敗談を糧に、皆様には同じような経験をしていただきたくないと思い筆を執りました。
相続が起きてしまった方、あるいはこれから相続が起こりそうな方の参考にしていただければ幸いです。
事の始まり
祖父が亡くなりました。就寝中にベットから落ち、打ち所が悪く他界しました。
多少記憶が覚束ないところはありましたが、特段、病を患っていたわけではなく、まだまだ元気に過ごしてくれると思っていました。
家族一同、唐突のお別れに心がついて行かないまま、慌ただしく葬儀が終わりました。
祖父は、資産家でした。
残された財産は、アパート3棟、貸家3棟、土地が約30筆と現金が2,000万円でした。
ただ、当時は、亡くなった祖父がすべての財産を管理していたため、家族のだれ一人として財産の全容を知りませんでした。
亡き後は、「相続税の申告をしなくてはならない」と覚悟はしていたものの、財産の全容がつかめない状況で「何から着手すればよいのか」「一体いくら納税しなければならないのか」という漠然とした不安を感じていました。
手を差し伸べてくれた銀行
しばらく、誰に相談したら良いか分からず悶々とした日々を過ごしました。
相続人全員がサラリーマンやOLで、平日は仕事があるため、相続について調べたり話し合いをするタイミングは、必然的に週末となりました。
当然、専門知識があるわけでもなく、何の糸口も見つけられないまま、2カ月、3か月といたずらに時だけが過ぎていきました。
そのような中、相続手続きに銀行を訪れた時のことでした。
生前、祖父と付き合いのあった担当者が見かねて「財産リスト」を作成してくれていたのです。
ようやく財産の全容を知ることができ、ほっとしたのもつかの間。
ここで、衝撃の事実を知ることになります。
「相続シミュレーションの結果、相続税は約5,000万円になります。」
祖父の残した現金は2,000万円でした。
あと3,000万円足りない…
相続税の申告期限が亡くなった日から10カ月というのも初めて知りました。
その時、亡き後からすでに4カ月が経過しており、タイムリミットまで残り6カ月となっていました。
わずか半年の間に、足りない納税資金3,000万円を用意し、相続税の申告と納付をしなければなりません。
「納税できなかったらどうなるんですか…?」
震える声で銀行担当者に聞いた覚えがあります。
「税理士さんに相談したら良いと思います。」
そこで、初めて「税理士」なる職業を知るのでした…。(続く)
やっておけば良かったこと
現在、税理士になった私が当時を思い返してやっておけばよかったこと、それは…。
その1 財産リストを早期に作成する
「相続税がいくらかかるのか?」を知るためには、まずは財産調査をしなければ始まりません。
分かる範囲で構わないので、このような表に財産をまとめましょう。

▼財産リスト(取得財産一覧表)はこちらからダウンロードができます。
取得財産一覧表
財産リストを作るメリット
- 相続税の申告有無と、納税がいくらになるのか?を判断するための基礎資料となる。
- 遺産分けの話し合い(遺産分割協議)の際に、必要となる。
財産の調べ方が分からない、忙しく時間がない方は、少々コストをかけても専門家に頼んで「財産リスト」を作った方がよいでしょう。
財産の把握が遅れてしまうと、「我が家」のように限られた時間の中で、納税資金の準備や税理士探しをはじめなくてはなりません。
また、専門家に依頼するメリットとして
相続人同士で遺産分けの話し合いをする際に、「都合の良い財産だけリストに載せているのではないか。」と疑いを持たれにくいという事もあります。
たかが、財産リスト、されど財産リスト。
相続が起きたらまず、故人の財産の棚卸からはじめましょう!
またのコラムをお楽しみに!