2023/10/26

誰も欲しがらない不動産(負動産)の処分

皆様こんにちは。なほ税理士事務所 税理士の川﨑です。
相続財産には高確率で不動産があります。その不動産には、相続することを「マイナス」と感じる、いわゆる「負動産」が含まれていることが少なくありません。

※「負動産」とは
例えば、既に空き家となり取り壊しに困っている建物や、過疎地に放置している山や農地など、ご家族が活用の術を見いだせず、欲しくない、処分したいと思っている不動産のことをいいます。 

今日は、そんな「負動産」問題について、一例を踏まえながら考えてみます。

1.ご相談内容 

相談者:財産を所有する方の長女
父が所有する財産のなかに、過疎地に放置されている建物と土地、そのほか山などがあります。私はその過疎地にある不動産を相続したくありません。
そこで家族、親戚とも相談し、父が所有する財産から必要なものを私が生前贈与(相続時精算課税制度)で譲り受け、残った不要な不動産は相続が起きたときに全員で相続放棄し、手放すことにしました。この場合に想定される問題にはどういったものがありますか?

(ご注意)
ここでいう「相続放棄」は、家庭裁判所で所定の手続き行う「相続放棄」をいいます。遺産分割協議で「財産を相続しない」とすることとは異なります。

2.贈与実行前に

財産状況を確認したところ、生前贈与について相続時精算課税を活用すると不動産取得税以外の贈与税、相続税といった税金の負担は一切ありませんでした。
税金面の課題をクリアしたならば、残す課題は、相続放棄が認められるのか、認められた後の不動産管理、処分となります。「相続放棄」のおさらいをする意味も含め調べてみました。

(1)生前贈与は相続放棄に影響するのか

裁判所の公表する資料によると相続放棄の却下率は約0.2%と低く、基本的には手続の期限を過ぎてしまう、既に相続財産を処分している、といった却下される行為がなければ生前贈与をしていても相続放棄は認められます。

※相続放棄が認められないケース等を丁寧に解説されているURLを末尾に掲載しておくのでご興味のある方はご覧ください。

(2)放棄した後の不動産の管理義務

この「管理義務」については民法の改正があり、令和5年4月1日からは相続放棄する時点で負動産を占有していなければ生じないこととなりました。

今回のご相談者様のケースでは、負動産を占有している人が一切無く、また債権者といった存在もないため、相続放棄することで負動産を所有しなくてすみそうです。

※理論上は最終的に負動産が国庫に帰属します。

3.最後に

今回のご相談者様が実行された生前贈与(相続時精算課税)、実際には父が亡くなり、相続放棄の手続きを進めてみないと「生前対策に取り組んでおいて良かった」となるのかわからないところがあります。

※民法の改正がされたばかりで、管理義務に関する事例等の情報が全くありません。

最近誕生した土地国庫帰属制度がこのような負動産問題の解決に繋がるのでは?といった話題もありましたが、利用のハードルが高く、普及することは難しいようにも思います。

負動産問題の今後の課題、その支援、救済などについて考えさせられる一例でした。また、負動産の処分でお悩みの方は、次の方法なども参考にしてみていただけると幸いです。

▼不動産会社が引き受けてくれない不動産の売手・買手のマッチングサービス
家いちば

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みんなの0円物件

▼参考サイト
【相続放棄が認められないケース】
【相続放棄の管理義務】

▼関連サービス
今回の事例はこちらのサービスにて解決いたしました。

相続税対策(生前贈与)


執筆者-川﨑

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