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2025.11.06 税務調査生前贈与

親からお金を借りるときに確認!税務署に「贈与」とみなされないための3つのポイント

親からお金を借りるときに注意したい!税務署に「贈与」とみなされないための3つのポイント

「いろんな事情で両親からお金を借りたい」ということはよくあります。
実はこういった家族間のお金のやり取りを税務署が念入りに調べてくるときがあります。

その理由は、「借金」ではなく「贈与だ」と指摘して贈与税をかけたいから。

この記事では、

  • ・親子間のお金のやり取りを借金と税務署に認めさせたいときのポイント
  • ・返済途中で親が亡くなってしまったときの相続の基本

を解説します。

目次

なぜ税務署は親から借りたお金を疑うのか?

税務署がチェックするのは、「本当に返すつもりがあるのか?」という点です。
つまり、表面上の貸し借りではなく、実際に返済の実態があるかどうかを見ています。

もし税務署が「これは返済するつもりがないから、実質的な贈与だ」と判断すれば、贈与税が課税されます。

そのため、親からお金を借りるときは、借入の証拠や返済の実績をしっかり残すことが非常に重要です。

税務署に「借金」と認めてもらうための3つのポイント

① 現実的な借入内容であること

まずチェックされるのが、「実際に返済できる内容になっているか」です。

たとえば年収300万円の人が、親から1億円を借りる契約をした場合、完済までに33年かかる計算になり、税務署は「返すつもりがない?」と疑います。

贈与ではないかと疑う税務署の職員

また、80歳の父親が「50年返済で子に5,000万円を貸す」という契約も現実的ではありません。
完済する頃には父は130歳。男性の最高齢ギネスは116歳ですから、父が生きているうちに完済するには無理があります。

このような不自然な内容だと、「最初から返すつもりがなかった=贈与」と判断される可能性があります。

ポイントは、第三者から見ても無理のない返済計画にしておくこと。

☝️
借入金額・返済期間・月々の返済額・返済者の収入などが現実的であるか、冷静に見直しましょう。

② 返済実績をしっかり残す

借入契約の内容が適正でも、実際に返済の形跡がなければ意味がありません。
「返す返す」と言いながら一度も返済していない、あるいは“あるとき払い”のような状態だと、税務署は「これは贈与だ」とみなします。

おすすめは、銀行口座での振込による返済です。

借入条件どおりに、自分の口座から親の口座に振込がある。
このような銀行を通じた返済記録は客観的な証拠になります。

逆に、現金手渡しはNGです。
現金では返済記録が残りません。
また仮に領収書を作ったとしても、実際に返済を行わなくても領収書は作れてしまうので、証拠としてはかなり弱くなります。

振込は返済記録が残るので〇。手渡しは返済記録が残らないので×。


☝️贈与だと言われないためには、確実に記録が残る形で返済していきましょう。

③ 契約書を作成しておく

親子の間で契約書を交わすのは「ちょっと堅苦しい」と思うかもしれません。
しかし、銀行からお金を借りるときに契約書を作らない人はいませんよね。

契約書の有無は、税務署が重視する判断材料です。

税務署が念入りにチェックするのは、親子間であっても、銀行でお金を借りるときと同じように行動しているかです 。

☝️借入金額、返済期限、返済方法、利息の有無を明記し、日付・署名・印鑑までそろえた書面を作成しておきましょう。

これによって、「きちんと借入が成立している」という強い証拠になります。

無利子でも大丈夫?利息の扱いについて

親子間の貸し借りでは「利息なし」で済ませたいという方も多いでしょう。
無利子でも、家族関係を踏まえれば不自然とまではいえません。

ただし、「利息をつけた場合にいくらになるか」を試算しておくと安心です。
仮に利息分を贈与とみなされたとしても、年間110万円以下(贈与税の非課税枠)であれば、課税される可能性はほとんどありません。

親が亡くなったら借金はどうなる?

では、返済途中で親が亡くなった場合、残りの借金はどうなるのでしょうか。

結論から言うと、親が持っていた「返済を受ける権利」も相続財産になります。
つまり、その権利は相続人に引き継がれます。

ただし、お金を借りていた子ども自身が相続人の場合、
「返す人」と「受け取る人」が同一になります。

自分で自分に返済する行為に意味がないので、
法律上はこの部分の権利は消滅することになっています。
これを「混同による消滅」といいます。

注意すべきは、消滅するからといって「価値がゼロになる」わけではない点です。
過去の裁判例では、返済が済んでない分も相続税の課税対象になると判断されています。
相続税の申告が必要な家庭では、この点も忘れずに確認しておきましょう。

まとめ:親からお金を借りるときの3つのチェックポイント

親からお金を借りるときに、贈与とみなされないためのポイントは次の3つです。

✅ 現実的な借入条件であること
✅ 返済実績を銀行振込などで残すこと
✅ きちんと契約書を作成しておくこと

さらに、無利子にする場合は、利息分が年間110万円以内におさまるかを確認しておきましょう。

これらを守ることで、税務署から「これは贈与です」と言われるリスクを大きく減らせます。
特に1,000万円以上の借入や、将来相続税の申告が必要な家庭では、きちんとした形式と実態を整えておくことが安心です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者

親からお金を借りるときに確認!税務署に「贈与」とみなされないための3つのポイント
川﨑 雅俊 MASATOSHI KAWASAKI
なほ税理士事務所・代表税理士
石川県金沢市で相続専門の税理士事務所を開業。 上場企業の経理から、大手税理士法人を経て独立。相続税申告・贈与税申告・相続税対策など、相続に関する分野を専門とする。
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